先日、森林伐採に反対する加計呂麻住民の会(以下、住民の会)の方々にお会いした時に、加計呂麻の森に生息している希少動物の話も出ました。
瀬武の神社に登った時もアカヒゲが多いところという話も聞いていましたが、そういえば昨年5月13日に地元新聞・南海日日新聞で加計呂麻島で始めてオーストンオオアカゲラが確認されたという記事がありました。諸鈍小中学校の校長先生が撮影したそうです。
環境省自然環境局の生物多様性センターにもオーストンオオアカゲラは加計呂麻島には生息していないとされています。
しかし、存続を脅かしている原因とその時代的変化についての部分を読む限りでは、加計呂麻島も生息していなかったのではなく、生息が確認される前に伐採された森から姿を消し、加計呂麻の森が復活してきたことによって帰ってきたと見ていいんじゃないでしょうか。
今日の地元紙でも自然保護5団体が瀬戸内町に申し入れをした記事が紹介されています。
徒然なる奄美:加計呂麻島伐採問題3/27の記事
また、住民の会の方からの情報で知ったのですが、「生物多様性基本法」というのがあるそうです。以下はWWFのサイトより抜粋です。
生物多様性基本法が成立!
今回成立した「生物多様性基本法」は、これまでの日本に無かった、野生生物や生息環境、生態系全体のつながりを含めて保全する、初めての法律です。
もちろん、すでに国内には、「鳥獣保護法」や「種の保存法」「特定外来生物法」など、生物多様性の保全にかかわる数々の法律があり、施行されています。しかし、「鳥獣保護法」はあくまで駆除や狩猟などの対象となる鳥獣に対象が限られており、「種の保存法」や「特定外来生物法」も、それぞれ絶滅が懸念される少数の生物の保護や、特に被害が大きいと認められている一部の外来生物のみを扱ったもので、到底、生息環境を含めた野生生物の包括的な保全を実現できるものではありません。
その点、生物多様性基本法は、これらの自然保護にかかわる法律の上位に位置する「理念法」であり、各法律の施行状況を確認し、必要であればその改正や状況の改善を求めることができます。
また、生物多様性の保全に配慮しながら、自然資源を持続可能な方法で利用することや、環境を脅かす可能性のある事業などが開始される前に、問題を「予防的」に解決すること、またそれらの実施に際して一般市民の意見を考慮することなど、国際的には広く行なわれていながら、日本ではまだきちんと導入されてこなかった重要な政策が、この法律によって実現される可能性が高まることになりました。
考えてみると当然のことですよね。
鳥や哺乳類だけで生きていけるわけではなくて、餌も住処も必要です。
1種類の生き物だけを守ろうとしても環境全体を守らないといけません。
オーストンオオアカゲラだけじゃなく、もしかしたらアマミノクロウサギも・・・
(以下の話は架空の話です)
昔々、大島では道路がどんどん出来て騒がしくなっても加計呂麻島は静かなゆっくりとした時間が流れていました。森も海も穏やかで人々と動植物ものんびり暮らしていました。
ところがある日、バリバリと山が切り開かれてしまいました。
住処となる森を無くした生き物たちは相談します。
”騒がしくて狭いけど、加計呂麻よりは住処となる森はまだ大島に残ってるようだよ。みんな引っ越そうか”
鳥たちはさっさと渡っていきました。
でも、アマミノクロウサギは飛ぶことも泳ぐこともできません。
そこで、餌を求めて大島海峡を泳いでいくことがあるリュウキュウイノシシに相談します。
”私を背中に乗っけてつれてってくれませんか”
こうやって加計呂麻の森からアマミノクロウサギは姿を消しました。
ところがある日、大島に暮らしていたアマミノクロウサギにオーストンオオアカゲラから伝言が届きます。
”加計呂麻の森が元に戻ってきてるよ。自分たちは暮らせるぐらいになったから、君も戻ってこないかい。リュウキュウイノシシ君には伝えてあるから、今度渡って来たときに乗っけてもらいな”
アマミノクロウサギは嬉しくて、いつ渡れるんだろう、帰れるんだろうと加計呂麻の森を望む大島海峡近くの森に足しげく通うようになりました。
最近、大島海峡近くの山でアマミノクロウサギを多くみかけるのはその為かもしれません。
いつかリュウキュウイノシシの背中に乗って加計呂麻の森へ帰っていくアマミノクロウサギを見ることができるかも。