昨夜はBS朝日の「新にほん風景遺産」という番組で”世界自然遺産 登録へ!2時間スペシャル「沖縄やんばる~希少な生命の楽園 神秘の森をゆく~」 / 「奄美ケンムンの森~薩摩藩士が見た幕末の風景~」”があるので見てみました。
この春に国立公園になることも決定し、来年の世界自然遺産に向けて動いてますから、奄美・沖縄の自然を取り扱う番組や書籍も増えるんでしょうね。
この番組では1点だけ気になる説明があったので、補足しておきます。
それはマングローブのヒルギの種について、”種が落ちて泥の刺さって発芽する”というような説明でしたが、都合よく泥には刺さりません。
写真のように長細い種です。胎生種子と呼ばれ、夏に花が咲いた後に約1年近く樹上で成長して長細い種になります。写真はメヒルギの種ですが、オヒルギの種はもっと太く同じく長く成長します。そして次の花の咲く前、夏前に樹上で発芽します。写真の種の上部、ガクの中で発芽して抜け落ちます。
抜け落ちた種は、発芽した新芽を水面に出した状態、釣りのウキのような様子で水中に縦に浮きます。まずはここが一つの難関。写真のように風や虫の影響で曲がってしまった種はきれいに縦に浮くことができず、新芽は海水に浸ってしまうと傷んでしまいます。
次に潮の干満によって浮いた種はマングローブの汽水域を行ったり来たりするわけですが、これが次の難関。うまくカニ穴や窪みにはまって根付くことができればいいのですが、確率はかなり低いでしょう。
結果、夏前には樹上に大量の胎生種子がぶら下がりますが、その数はうまく根付くことの難しさを示しているのでしょう。
もし、落ちた種が泥に刺さる、ということであれば、種が落ちるころにマングローブの中を通るのはかなり危ないですよね。そんなことはないです。ご安心ください。でも、先端恐怖症の方はちょっと怖いかも。