今では島ではただ一人の船大工、坪山良一さんの制作した板付け舟です。
舟漕ぎ競争用としてオーダーされた舟で、1月末から作成していて、その間、ちょこちょこと立ち寄らせてもらい、舟造りの色んな話を聞かせてもらいましたが、完成したというので再び工房を訪れてみました。
坪山さんのお父さんは、奄美のシマ唄の唄者としても有名、「唄う船大工」こと坪山豊さんです。その技術を継承されています。
坪山さんは伝統の板付け舟だけでなく、現在ではscofitsというブランド名で競技用のシーカヤックやサーフスキーを制作しています。
後ろからみると船の微妙な曲線がきれいです。
制作中にお聞きした話はとても面白く興味深い内容でした。
原材料として主に宮崎で生産される飫肥杉(おびすぎ)がどんな特性があるのか、その杉が奄美大島でも栽培されていて、どんな材を選んで使うのか。
いかに木を割れないように逆らわないように曲げていくのか。
そして、加工・制作で行われる技術が宮大工の技術に共通していること、その他にも細かいテクニック等々。
作業中はゆっくりと材を曲げていくために、間違ってぶつかったりすると、作業が振出しに戻るどころか材が割れてしまうこともあるということで、誰でも見学できるというわけではありませんでした。
坪山さんのお父さん(豊さん)が作成した板付け舟は奄美博物館にて展示しています。機会があれば、是非、じっくりと見て下さい。