[ご注意]奄美市住用町東仲間のモダマ自生地は奄美市の指定文化財(天然記念物)に指定されおり、実などの採取などは一切禁じられています。写真の実は東仲間集落が一集落1ブランドとして特別に許可されて販売しているものです。
数年ぶりに莢(さや)をつけてくれたモダマ、その後の台風で落とされてしまわないかなと心配していましたが、奄美大島は台風の直撃となることもなく、たくさんの莢(さや)がぶら下がっていて、実も入り始めたのか少しづつふくらんできています。
以前も書いたことがありますが、この自生地は奄美大島でも奄美市の住用町東仲間、旧国道58号線の三太郎峠の登り口にあります。その場所はGoogle Mapでご覧いただくとわかるのですが、直線距離で河口から1Km、太平洋の海岸線からは内海をはさんで約2.4Kmも内陸部にあります。
本来、モダマは海岸線近くに生えていて、熟した実が落下すると海面に浮き、海に流された後に海岸線に打ち上げられるので、その時、海藻がからんでいることが多いので、藻の玉(実)という名前がついたそうです。
しかし、奄美大島の自生地は海から離れていて、峠へ登る入口の険しい斜面の近く。ちなみに北限として屋久島の安房川の河口近くに1箇所だけあり、調べてみると海からかなり近いようです。国内では石垣島と西表島が自生地となっていますが、こちらは海岸線との距離はわかりませんでした。
奄美大島の自生地では落下した実は当然ながら海へと流れませんし、植物に詳しい方によると、硬い皮に覆われているので、そのまま埋めても発芽せず、皮を丁寧に削ってみて、ようやく発芽したそうです。
生えている場所にしても、自然では発芽しないということにしても、奄美大島で、この場所にだけ自生地があるのは不思議だとおもっていました。
ところが、先日、知人から”モダマの種を鉢に植えたら発芽した”という話を聞いたのです。えっ?と思って詳しく聞くと、奄美大島北部の海岸でモダマを拾ったので鉢に植えたら芽が出てきた、それも2つ、ということでした。
実際に見ていないので推測ですが、恐らく長時間、海水を漂っている間にうまい具合に硬い皮がふやけて柔らかくなり、種の内部がダメにならないうちに漂着、それを鉢に植えたので芽が出たのではないでしょうか。
検索してみると、石垣島でモダマを販売している「美ら海熱帯魚」というサイトの説明では、やはり、”漂流に耐える防水性の高い硬く頑丈な殻のため、そのまま蒔いても殻が朽ちて吸水ができる状態になるまで少なくとも数か月かかります。”とあります。
また、漂着した場所が砂地や岩場ではダメでしょうから、いろんな条件が整わないと自生できないでしょう。
しかし、それでも奄美大島の他の場所でもあってもおかしくありませんし、沖縄本島や周辺の島にあっても不思議ではないのですが、知られる前に開発などで無くなってしまったのかもしれません。
住用町東仲間の自生地は車が通る道路ができる前は自生地の後ろの山を通る旧道がありました。もしかすると、内海か太平洋側の海岸で、ほどよく海水でふやけたモダマの実を拾った人が峠道を登り始めた時に自生地の上あたりで落として、それが今の場所にうまく根付いたのかなと想像してみたり。どうなんでしょうね。
追記
「奄美大島漂着マメの資料室」というサイトがありました。既に奄美大島は離れていらっしゃるようですが、モダマの発芽についてもページがあります。